TRD Rally Cup by JBL 2020 rd.1 -MCA CAPRICCIO 2020-


 3月21日〜22日、福岡県築上郡上毛町を舞台として、MCA CAPRICCIO 2020が行われた。JAF九州ラリー選手権第1戦 、JMRC九州ラリーチャンピオンシリーズ第1戦 JMRC九州ラリーチャレンジ部門 第1戦、TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge 2020 joint cup 九州シリーズ 第1戦として、九州ラリーシリーズの開幕戦として開催された本戦にTRD Rally Cup by JBL 2020 Rd.1を編入しての開催となる。大分県との県境となる山国川にほど近い『道の駅しんよしとみ遺跡前』をHQとし、総走行距離 :103.37km/スペシャルステージ総距離(7本):35.14kmのオールターマックラリーで争われる。

 全長6kmほどの1本の林道と、そのちょうど中間地点に繋がる林道を利用する今回のステージは、アップダウンこそあるがクセのないコーナーが続く。また、全開にできる区間が多いため直線が少なくともアベレージスピードは高めになる。セクション1の2つのステージは同一地点からのスタートとなるが、1kmほどの上りの後、本線に合流するジャンクションで左右の道へ分かれるレイアウトとなる。SS1・SS3の「東上岩屋SS」は上り基調で続くコース。幾重にもコーナーが続くが、緩いアールが続くためアクセル開度は高めになる。対してSS2・SS4の「東上有田SS」は傾斜がきつめの下りを含むアップダウンが激しいコースとなる。そしてセクション2のSS5・SS6・SS7「東大平線SS」は、「東上有田SS」の逆走から「東上岩屋SS」へと繋がるロングコースとなる。今回のステージは全体的にテンポ良くコーナーが続くが、タイヤの摩耗が激しい路面特性となるためタイヤマネジメントが重要となるステージだ。日曜は午後から雨になるとの予報があり各車タイヤチョイスに悩まされることとなったが、当日は曇り空で路面が濡れることはなかった。

 昨年からシリーズが本格スタートしたTRD Rally Cup by JBL。全国を舞台として計5戦で競われたが、毎戦ドラマチックなバトルが展開した。CUP-1でシーズンを通して強烈な速さでチャンピオンを決めた毛受広子は、昨年ライバルチームであったMATEX-AQTEC RALLY TEAMのサポートを受け2020年全日本ラリー選手権へ挑む。
また、今年からTRD Rally Cup by JBLはレギュレーションを変更。ターマック・グラベル共用として開発された指定サスペンションの装着義務化により、さらにイコールコンディションでの戦いが期待されることとなる。

TRD Rally Cup by JBL 2020 rd1 -MCA CAPRICCIO 2020- エントリーリスト
当日の福岡県築上郡上毛町付近の天気

CUP-2




 86/BRZ限定のCUP-2クラスには2台の86がエントリー。昨年好走を見せるも惜しくもシリーズチャンピオンを逃した吉原 將大・佐野 元秀組が引き続き参戦しチャンピオンを奪還すべくリベンジに燃える。そして注目のもう一台がCUSCO RACINGチームから参戦の今橋 彩佳・保井 隆宏組。フォーミュラレースのFIA-F4に参戦し好成績を収めてきた今橋。今回はベテランの保井 隆宏とのコンビでTRD Rally Cup by JBL 2020年シリーズを戦う。「2年半ほど、ラリーというか車競技そのものから離れていたこともあり本当に久々の挑戦です。今まで乗ってきた車とサスペンションを含めてマシン特性が結構違うので、それに早く適応する必要がありますね。」
 SS1、地区戦の4WD勢に次ぐほどのスーパータイムで飛び出したのは今橋組だった。若干オーバーペースであることを危惧した保井はペースダウンを指示するほどのスピードを見せる。吉原もタイヤとサスペンションの動きを意識しながら順調に走行を続けるも、今橋とのギャップは4秒と大きなものだった。
 続くSS2。変わらずハイペースで攻める今橋であったが、ステージ中盤のクレスト直後の右コーナーで曲がりきれずコースオフ。マシン左前部を大きく破損し、そのままリタイヤとなってしまった。
 今橋は「コ・ドライバーの保井さんや、車を仕上げてくれたチームの皆さんに申し訳ないです。SS1で、乗り切れてない感覚ながらタイムが出てたので、もうちょっと行けるかと過信してしまいました。保井さんがペースダウンの指示を出してくれていたのに…悔しいです」保井もまた「コ・ドライバーとして、もっとやれることがあった気がします。反省ですね…」と肩を落とした。

 ライバル不在となった吉原・佐野組は完走を絶対条件とし、しっかりマシンをフィニッシュさせ見事初戦を優勝で飾った。吉原は「初戦を良い形で終えられて良かったです。残念ながら今橋さんがリタイヤになってしまいましたが、そこで油断して昨年の最終戦のようにマシンを壊してしまっては意味がないので、頭を切り替えて抑えた走りで慎重に攻めました。とはいえ折角の実戦ですから、走りながら新しいサスペンションのセッティングを調整することが出来ました。ストロークが長くロールするサスペンションですが、僕の走り方には合っていると思うので、もっと詰めていきたいです。今後今橋さんがライバルとなると、なかなかハードな戦いになりそうですけど、初戦で大きくポイントを獲得できたので良かったです」とホッとした表情で語った。

CUP-1



 ヴィッツ限定のCUP-1クラスには3台がエントリー。昨年のTRD Rally Cup by JBLでは後半戦からの参戦となったが、悪コンディションでの速さと強さを見せた桒村 浩之・古本 舞桜組。ハードなラリーとなった四国のてっぺんラリーに参戦し、その中でも光る速さを見せたピエール 北川・漆戸 あゆみ組。そして昨年CUP-2に86で参戦し、今年は急遽MATEX-AQTEC RALLY TEAMから参戦となった髙木 充・草加 浩平組となる。下馬評ではヴィッツでの参戦経験などから桒村・古本組が優位との見方が多かった。桒村は「サスペンションを変えてから、本気のペースで走るのは今回が初なので、車がどう応えてくれるか様子を見ながら走ります。日常で走った感じではフィーリングもいいですよ。荒れた展開が好きなので、明日予報通り雨が降ってくれれば良いですね」とニヤリ。
 しかし日曜は雨から曇り予報へ。また、独特の路面サーフィスによるタイヤ摩耗に各選手は頭を悩ませることとなる。ピエール北川は「レッキだけでタイヤが結構摩耗してしまった。空気圧を高くしすぎてしまっていたこともあり、ちょっと変な減り方になってしまっている。今日はタイヤの様子を見ながらのアタックですね…」と慎重な様子。桒村は「次戦ネコステにも参戦する予定なので、タイヤ温存しようかと…でも雨が降るかもしれないので、それに備えてリヤに山ありのタイヤを履いていくか…悩みます」と悩んだ結果、フロントに六分山ほどのユーズドタイヤ、リヤに新品タイヤをチョイスしてのスタートとなった。

 そして迎えたSS1。トップタイムを記録したのはなんとピエール北川・漆戸組だった。続く桒村組との差は1秒。SS2でもピエール北川の快進撃は続き、桒村との差を5秒も広げることとなった。
 アグレッシブな走りが持ち味の桒村だったが「コ・ドライバーの古本さんから『走りに無駄が多い』と指摘されてるので、途中から走り方を『小さくセコくイヤらしく』に矯正しました。昨年から注意されてはいたんですが、こうやってタイムで負けてるとね…ユーズドを履いたのも失敗でした。思った以上に摩耗が激しく、タイヤもいつまで持つか分からない状態なので、なかなか厳しいです。」コンパクトな走りに徹してのSS3はピエール北川と同タイム。SS4では2.3秒差でフィニッシュし一矢報いた。
 高木組はヴィッツでの競技が初めてということもあり、様子を見ながらのアタック。しかしSS2からは前の2組と遜色ないタイムを刻んでいく。「車から何からすべて初めて尽くしなので、拾える情報は全部拾って分析しながら走りました。SSアタックしてすぐに前のステージの車載映像をチェックして、草加さんと協力しながら少しでも速く走れるように頑張ります。」と高木。
 サービスを挟んでのセクション2。このSS5のロングステージで再びスーパーアタックを見せたのがピエール北川組だった。追う桒村組に対して5.1秒ものタイム差をつけてのフィニッシュで、SS4で縮められたタイム差をさらに広げた。そして続くSS6。ここまで車の動きを様子見しながらのアタックだった高木組がトップタイム。次に繋がる一本となった。そして迎えた最終SS。SS6のアタック中にマシンをヒットしてしまったピエール北川だったが、大きなトラブルもなく走りきりトップタイムを記録。実に5本のSSでトップタイムを記録する素晴らしい走りで勝利を収めた。桒村は走行を重ねるたびに効かなくなるブレーキにも不安を抱え、思うようなアタックをできないままにラリーを終えた。
ピエール北川は「このサスペンションで初めての参戦ということもあり最初は様子を見ながらのアタックでしたが、コ・ドライバーの漆戸さんに良いリードをしていただけたので、うまく走り切ることができました。タイヤの摩耗が激しく常時ABSが介入するようになったりリヤが流れ出したりでコントロールが難しくて…途中いくつも危険なシーンはありましたが、こうやって勝利できて嬉しいです。サスペンションの減衰セッティングを試しながらアタックできたのも今後に活かせそうなので良かったです。」と語った。
 



 本戦においても、世界最大級オーディオメーカーで、家庭用オーディオ、ホームシアター、車載用などの民生機器から、世界中の映画館、スタジアム、レコーディングスタジオなどを対象とした業務用機器をラインナップするJBL(ハーマンインターナショナル株式会社、東京都台東区)からパートナーシップを受け、優勝クルーおよびU-25 AwardのクルーにはJBL製ヘッドフォンが賞品として贈呈された。


 次戦は4月18〜19日に群馬・埼玉で開催されるネコステ山岳ラリー2020の予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で6月への開催延期が検討されている。


MCA CAPRICCIO 2020 正式結果

TRD Rally Cup by JBL 2020 シリーズポイントランキング

※イベントレポートという性質上、文中で敬称を略して表現している個所があります。